元田永孚

元田永孚

 元田永孚(もとだながざね)文政元年戊寅(つちのえとら15)十月一日(1818年10月30日)生誕 -明治二十四(1891)年一月二十二日薨去(七十二歳)は、熊本藩士。儒学者。男爵。幼名は大吉。通称は伝之丞、八右衛門。雅号は東野。字は子中。号は東皐、樵翁。

経歴

 文政元年戊寅(つちのえとら15)十月一日(1818年10月30日)に元田永孚は熊本藩士の父・元田三左衛門と津川平左衛門の娘の母・阿喜和の子として誕生する。

 父の三左衛門が熊本藩九代藩主細川斉樹(ほそかわなりたつ)の甥の細川斉護の側取次役などで多忙であったため、永孚は祖父の元田自泉から厳しい教育を受けて「唐詩選」や「論語」などを学ぶ。

熊本城

 永孚は十一歳の時に熊本藩の藩校時習館で学び、天保三年(1832年)に元服する。天保八年(1837年)に熊本藩十代藩主の細川斉護(ほそかわなりもり)の参勤交代に従う父の付き添いで江戸へ上府する。大阪や京都を巡り江戸を見物した末に帰藩する。

藩校時習館跡

 永孚は江戸から帰藩後に時習館居寮生となり横井小楠や下地休也と知り合いその感化を受ける。小楠中心の藩政改革派の実学党の一員として活動した。しかし実学党は天保十二年(1841年)頃に筆頭家老の松井章之を頭目とする学校党と対立することとなり、藩政の混乱を避けるため、家老の長岡是容が家老職を辞職して研究会を取り止めになる。永孚自身も父の強い希望があって同年に退寮した。

横井小楠

 安政四年十二月二日(1858年1月16日)に父三左衛門が逝去する。永孚は家督を継ぎ元田家八代目となる。文久元年(1861年)に十一代藩主の細川韶邦(ほそかわよしくに)(斉護の次男)の参勤交代に使番として随行する。江戸へ再度上府した。

 文久二(1862)年九月に国許にいた妻が急死したため帰藩して辞職した。同年十二月に藩から京都留守居を命じられ上洛する。京都では公武合体派の藩に従う。

 元治元年七月二十三日(1864年8月24日)に朝廷は幕府へ対して長州追討の勅命を発した(第一次長州征討)。永孚は十一代藩主細川韶邦の弟の長岡護美(ながおかもりよし)が率いる熊本藩兵に従軍して征長副総督府の豊前の小倉城で滞陣する。

 慶応二年六月七日(1866年7月18日)に幕府艦隊の真木清人が屋代島(周防大島)への砲撃を開始して第二次長州征討が勃発した。永孚は出兵に反対する。慶応二年七月二十日(1866年8月29日)に大軍を率いて上洛した第二次長州征討の途上で十四代将軍徳川家茂は大坂城で病に倒れて薨去される。十五代将軍を継いだ徳川慶喜が家茂の死を公にした上で朝廷に働きかけ、休戦の勅命を発してもらう。事実上の幕府軍の敗戦だった。

徳川家茂
徳川慶喜

 慶応三年十月十四日(1867年11月9日)に徳川慶喜が政権を明治天皇に奏上する(大政奉還)。慶応三年十二月九日(1868年1月3日)に明治天皇により王政復古の大号令が発せられた。永孚は明治維新後に藩内での意見対立に嫌気が差し、明治二年(1869年)に東大江村に隠退して私塾「五楽園」を開く。

明治天皇

 永孚は明治三年(1870年)に藩政において実学党が復権したことで藩主の学問を教授する職に推挙され復帰した。明治四年(1871年)に藩命で上京して大久保利通の推挙によって宮内庁へ出仕し、明治天皇の侍読となり、以後20年にわたって天皇への進講を行うことになる。天皇の教育は漢学を重視して『論語』『日本外史』を進講し、「君徳培養」に努めて天皇の輔導を更に推し進めていった。

大久保利通

 明治十一(1878)年五月十四日に大久保利通は馬車で皇居へ向かう途中紀尾井坂付近の清水谷で暗殺される。伊藤博文が大久保の後を継ぎ内務卿として実質的な政府首班に就任する。永孚は政府に天皇親政を中心とした改革案を提出したが、天皇親政運動は頓挫に追い込まれた。

伊藤博文

 永孚は仁義忠孝を重んじた教育を通して国民の天皇への忠誠心を高める方法の実現に動き出し、明治十二(1879)年七月に『教学聖旨』(「教学大旨」及び「小学条目二件」)を起草したが、伊藤にすぐさま反論され『教育議』が天皇に提出されると更に反論され、天皇の判断で教学聖旨は破棄された。

 明治十九年(1886年)年に宮中顧問官に就任する。天皇は次第に伊藤を信頼するようになり、明治十九(1886)年九月七日に明治天皇と伊藤博文の両者間で「機務六条」が取り交わされる。永孚は明治二十一年(1888年)に枢密顧問官に就任する。明治二十三年(1890年)に『教育勅語』の起草への参加などを通じて、儒教による天皇制国家思想の形成に寄与する。

 明治二十四(1891)年一月二十二日に薨去。元田永孚は七十二年の生涯を終えた。

伝記・評伝

元田永孚と明治国家―明治保守主義と儒教的理想主義

教育勅語への道―教育の政治史 田中不二麿、元田永孚、森有礼、井上毅


三国志演義 第一巻
三国志演義 第二巻
三国志演義 第三巻
三国志演義 第四巻
三国志演義 第五巻
三国志演義 第六巻
三国志演義 第七巻
三国志演義 第八巻
三国志演義 第九巻
三国志演義 第十巻
三国志演義 Ⅰ

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